――八王子はり研究会―――――――――――――
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吸角療法 |
1.吸角(吸玉)療法とは
2.名称
3.歴史
4.器具
5.陰圧にする方法
6.乾角法と湿角法 7.皮膚に及ぼす作用 8.筋肉に及ぼす作用
9.効果が期待できる症状 10.吸角の注意すること
11.吸引器を使用した実際のやり方 12.色素反応とは 13.色素反応は、内出血にあらず
14.色素反応は健康のバロメーター 15.色素反応の正体
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1.吸角(吸玉)療法とは
原理はとても簡単で、カップ・吸角の内部を陰圧(空気を吸い出したり、酸素を燃やしたりして)にして、皮膚の表面に吸着させます。すると、皮膚が引っ張られて、体の中からガス(二酸化炭素)などが排出され、またその刺激が、汚れた血液や古くなった血管の部分に強く働きかけることにより、血液が浄化され、血管も新しく、強くなり、血行がよくなるというものです。
吸角をしたあとに身体に残る「赤い痕」を気にされる方がいますが、この痕は、身体の調子の悪い部分を教えてくれるサインです。通常は4〜7日程で消えますが、瘀血がたまっている方ほど痕の回復が遅くなります。ただし、痕は必ず消えます。
昔は竹や角、青銅のカップなどを使っていましたが、いまはガラス製やプラスチックのものがほとんどです。
吸角、あるいは吸玉、カッピング、バンキー(健康医学社の「バンキー」という治療器を使って施す療法で、この「バンキー」を用いることから、バンキー療法ともいいます。ちなみに、治療器の名前のバンキーというのは、英語のバキューム(VACUUM:真空)という意味に由来しているということです)
他にも火罐(カカン)、抜罐(バッカン)、プハン(吸玉)、真空療法、真空浄血療法などとも言います。
吸角療法の歴史は大変古いもので、紀元前に栄えたメソポタミア文明で、当時の医者に使われていたようです。またギリシャの神殿跡からも、紀元前五世紀頃の吸玉(青銅製)やその記録が出土しています。現代医学の祖といわれるヒポクラテスも吸角を利用していたようです。
吸角というのは古代の中国では牛の角を用いたところから吸角という名称になったと言われています。中国でも紀元前から行われていたようです。
現在でも韓国、中国、台湾はもとより、東南アジア諸国や、ヨーロッパ諸国、そして中南米でも愛用されています。
日本でも、「日本書記」や日本国最古の医書「医心方」に「スイフクベ」という名称で紹介されており、江戸時代までは盛んに用いられていました。ただ、周知のように明治時代以降は、日本の医療も西洋医学一辺倒になりました。そのため吸い玉療法は医療の表舞台からは姿を消し、民間療法として受け継がれることとなったのです。
最近ではエステなどでも使われ、ダイエットや美容に効果があるということでいま女性達に人気を呼んでいます。
*エステでは、カッピング・スライド法-全身にオイルを塗り、吸引力を弱めにしてカップをスライドさせる方法でマッサージ効果や脂肪燃焼に役立てています。
吸角は世界保健機構(WHO)でも認められた代替療法です。
ガラスやプラスチック、陶器、竹筒、真鍮でできた吸角を用います。
ガラスやプラスチック製のものにはバルブのついているものがあり、これには手動または電動の吸引器を用います。
衛生面から見るとガラス製がベストなのですが、冬場は冷たい(暖めればよい)、落とすと割れることがあるという欠点があります。
主に3つあります。
@アルコールや紙を入れて吸玉の中で燃やすという方法。A吸引器を用いる。
B竹筒などを薬湯であたため、冷えることで吸引する方法。
昔は@Bが一般的でしたが、今ではAが主流となっています。
@は安全に治療をするには技術が必要で、また、一人で自分の体にカップを付けるのは場所によっては難しいですし、毛髪のあるところでは、空気が漏れてしまい思うように付けることはできません。
Aは簡単に誰でも出来ます。電動や手動のポンプでカップを皮膚に吸着させて行います。
吸角法は乾角法と湿角法という2種類に分類されます。
乾角法は血を出さないで吸角を皮膚に吸い付かせる方法であり,老廃物の溜まった体液を皮下に集めて浄血する方法。
湿角法は三稜鍼などで皮膚にわずかにキズをつけて(これを刺絡といいますが)、その上に吸角を吸い付かせて、出血させ直接浄血する方法です。ともに血液(体液)の浄化を目的としている浄血法であることは共通しています。
*湿角法は鍼師の資格が必要です。
吸角は専門の治療院から家庭まで広く使われていますが、使い方やツボなどにより様々な作用が違ってきます。
7.皮膚に及ぼす作用
皮膚血管が拡張して血液の循環量が増えて皮膚温が上がり新陳代謝が盛んになり、汗腺や皮脂腺の機能と皮膚呼吸も盛んになります。
普通のマッサージ以上に皮下毛細血管の刺激に反応し血管が拡張し、鬱血(うっけつ)や充血を取り去り、肩こり等に効果がでます。
吸角療法は様々な疾患に効果があります。文献によると数多くの難治性の慢性疾患や難病が治ったという報告が見受けられます。
何千年も世界中で愛用されているという事実がこの療法の原理に普遍性があることを物語っていると思います。
9.効果が期待できる症状
@皮膚の若さを保つ (エステ、美容など)
Aホルモンや瘀血を調整する(婦人科疾患、不妊症、生理不順など)
B内臓諸器官を活発にする(内臓の活性、消化不良、便秘など)
C自律神経を調整する (自律神経失調、不眠症など)
D筋肉に対してマッサージ(肩こり、腰痛)
E血液を綺麗にする( 糖尿病、リウマチ、内分泌疾患)
F末梢血管の血行をよくする (冷え性、高血圧、低血圧など)
Gツボの刺激範囲が広い(健康管理、体質改善、疲労回復、ストレス解消、予防医学など)
@循環器系の悪い人(不整脈、血管病など)
A肌があれやすいひとにはむかない
B患部が腫れたり傷ついているとできない
C早急に外科手術を必要とするような急性疾患の場合
D強度の全身性貧血の場合
E極度に体が衰弱している場合
Fかぶれやすい人にとっては注意が必要
@始めは適当につけてもかまいません。痛いところ、具合の悪そうなところ。慣れてくると、ツボを使った効果的な治療もできます。
つける時間は0〜10分位で、体力や状況に応じて変えます。
Aすると、いろいろな顔をした治療反応(色素反応・赤い痕)がでてきます。これは大抵1週間くらいで消えます(水疱反応は多少時間がかかります)。
Bこの色素反応は、東洋医学の経絡(ツボ)に呼応して、体の悪いところ(瘀血のたまっているところ)を、皮膚表面に正直に映し出します。だから、その人の健康状態が一目瞭然。健康な人には、強い色素反応はでてきません。
Cつまり、治療することで、どこが悪いのか診断もできるよいうスグレモノです。健康状態が良くなると、色素反応も薄く弱くなります。
*疲労の度合いが大きいほど色が濃く出ます。疲労が浅い場合は赤味をおび、深い時は黒くなります。また血行が悪いほどカップの跡が長く残ります。
さらに疲労の度合いが大きく沈んでいる場合はあまり痕が出ないことがあります。何回か治療してくると出てきます。
*水疱反応というのは、無色もしくは赤みがかった体液が、陰圧によって皮膚表面に引っ張り出されて、水ぶくれのようになる反応です。この体液のpHは強アルカリ性を示します。強アルカリ性というのは、肉や魚などが腐った時に示すphです。
つまり、このような強アルカリの体液が出てくるということは、体の中で、正常な血液の流れから取り残された滞った血液が、半ば”腐った”状態で溜まっているということなのです。瘀血化がもっとも進んだ状態と見ることができます。
吸玉療法では、カップに一定以上の減圧力をかけると、治療後の皮膚に赤紫がかった治療反応が残ります。これを色素反応といいます。たまに、相撲の関取やプロレスラーが背中に丸い跡をつけてテレビに映ったりするのを見かけますが、あれですね。
はじめて色素反応を見る方の中には、ちょっと驚かれる方もいるようですが、この治療反応は、体の健康状態を把握したり新陳代謝を促す上で、とても重要な意味をもっています。
13.色素反応は、内出血にあらず
よく、色素反応を内出血だという方がおられますが、そうではありません。もし内出血であるなら、カップの吸着の強さや時間が同じであれば、体のどこつけても同じような色や同じような濃さの反応がでるはずです。ところが色素反応は、同じ条件で吸着させても、体の部位によって様々な現れ方があります。
14.色素反応は健康のバロメーター
実は、このような反応の現れ方の違いには、その方の抱えている病気との相関関係があります。 色の濃い、強い反応がでるところに、病気の元があると考えられるのです。たとえば胃腸の悪い方ですと、胃の周辺や東洋医学で教えられている胃腸の経絡上により強い反応が現れますし、また肝機能の弱っている方なら、肝臓の周辺や肝臓の経絡上により濃い色素反応が現れるものです。
そしてまた、色素反応が内出血ではない証拠に、繰り返し治療していくと、同じ部位でも徐々に色の現れ方が薄くなっていったりします。これは、その部位に潜んでいる、いわゆる「病気の元」が改善されていると考えることができます。そして、それに伴い健康の快復を実感できると思います。
ですから色素反応は、たとえて言うなら、その方の弱っている部分がどこなのかということを、皮膚表面に正直に映し出してくれる鏡のようなものであり、同時に、治療による健康の快復状況をリアルタイムで確かめることのできるとても便利な指標といえるものなのです。
では、様々に現れる色素反応の色の正体は何でしょうか、それは、簡単に言えばお血であるということになります。
色素反応は病気の元である瘀血の様子が皮膚表面に引っ張り出されたものと見ることができます。
そして治療後、数日間で色が薄れていくのは、引っ張り出された瘀血が皮膚表面の活発な新陳代謝や浄血作用によって解消されていく過程であるということができるのです。ですから、治療を繰り返していくことにより、悪くなっている臓器の周辺や、その経絡上のツボにあった瘀血が減っていきます。よって、同じ部位でも色素反応のあらわれ方が薄くなっていくということになるのです。 |
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